誘惑
君ならば 僕の命さえ 奪えるだろう
差し出しすことに
なんのためらいもない
もとより 拾い上げた命
捨てる理由も また 探していた
君ならば 僕の命さえ 奪えるだろう
なのに 君の欲しいものは
空虚な 満腹と
小遣いまみれの 汚れた 飾り
君ならば 僕の命さえ 奪えるだろう
もとより 拾い上げた 命
捨てる理由もまた 探していた
なのに君の欲しいものは
目の前の 時限付きの幻
僕の顔は 心臓は
目に映らない
僕は 山のように灰皿に 吸殻を積み上げる
夏が終わると
美しい堕落も
去るだろう
また ぶらさげた 命と
居場所探しに
さよなら 夏