四季の螺旋
春は
記憶
思い出の中で 耽る
青臭い 風の匂いは すぐさま僕を
16歳に戻して
胸を締め付けるような せつなさや
焦燥や 悲しみの季節
こんな歳になっても
悲しみが欲しい季節
夏
命の熱に絆される
1年で1番
命を粗末にする
試す 遊ぶ 傷つく 傷つけられる
生まれては消える
間違いと 発熱
エネルギー
時に 強く前向き
時に 危険なほど 危うい
秋
自分自身を
外側から見つめる秋
いくつの頃からか
1番さえわたるのが秋
冴えすぎた頭は
自分すら「場面の1部」
これからのことなどを考える秋
離人感の強まる秋
どこか 懐かしく
病的であるが 僕らしい
良くも悪くも 遠くが見える 秋
冬
たくさんの 優しさや
幸せや 絶望を
優しくかみ締める 長い夜
澄んだ空気の中で
たくさんの考えが生まれては
消えていく 冬
優しく 柔らかい気持ちになれるのも冬
大きく 絶望もする
それらを
噛み締める長い夜
冬
繰り返す四季
同じところにはいない
感情は
繰り返す四季に左右され
螺旋状に
似たような
感動や 発見 絶望や 喪失を 繰り返す
夏から秋に変わる
僕の心も
少しずつ僕から離れ
僕を含む景色
1枚の絵のように
見えてくる
幼い頃から変わらない
僕を含む「客観」の世界
その中で 様々な ものを作り
ものを考え
日々を 費やし
夏に焦げ付いた 過ちを
少しずつ 冷たく見つめる自分が 現れると
それは
秋
これからのことなどを考える
僕達のライトは
ほんの数メートル先までしか照らさないが
暗闇の中では
大切な 道しるべ